ペルニークを求めて初夏のチェコへ 3 (Pardubický perník Pavel Janoš)

6月2日、パルドビツェの町で取材2件目。

Pardubický perník Pavel Janoš、このパベル・ヤノシュ氏の工房はお父上の代から続く二代目のペルニーク工房の社長。数々のコンテストで受賞し、「ペルニーク王」の称号を持つペルニーク界では有名な人物。新聞やWEBニュースでの掲載記事も多数。

 

こちらの工房も閑静な住宅街の中にあり、工房件店舗の可愛らしい建物。

ショーウインドウには表彰状(?)や王冠のペルニークが。

こちらも製造中でお忙しそうな中、取材に対応していただいた。事前のYさんからの情報で「ウエルカムな雰囲気、とりあえずコーヒーを飲みにいらっしゃい」という感じで期待大の取材先。

経営者のパベル・ヤノシュ氏は50代のダンディな雰囲気。過去の作品や地元紙の掲載記事を紹介していただき、レシピや製法はヒミツとしながらもペルニークの歴史やパルドビツェでペルニーク製造が盛んになった由来などを教えていただいた。

すごいな、と思ったことのひとつに、どんな質問を投げても必ずヤノシュ氏が応えてくれること。製造経験だけでなく知識の豊富さ深さ、歴史の造詣の深さに驚かされる。日本から来た取引先でもない私たちに、丁寧に説明してくれる姿勢。伝統菓子としてのペルニークをきちんと伝えたい、そういう姿勢が伝わってくる。

Yさんの通訳を介しながらも、目をしっかりみて話しかけてくれる、真摯な気持ちが伝わってきて嬉しかった。

ペルニークの伝統的な製法はとても特殊。生地の段階で長期熟成をするのだそう。一般的なクッキーでは考えられないけど熟成期間は数ヶ月にも及ぶ。熟成することでスパイスが豊かな香りになりまろやかになるのだそう。他にもペルニークならではのヒミツの製法を教えていただいた。日本で再現できるかは不明だけど、パルドビツェの伝統的製法にただ驚くばかりでした。

写真:ヤノシュ氏の店舗カフェ、カフェ奥の棚には表彰状やトロフィーが。

 

かなりお時間をいただいてお話しをお伺いし、ヤノシュ氏の取材を終えてお店で数点のペルニークを購入。手のひらに収まるくらいの大きさで30~50コルナくらい。デザインは比較的ラフなものも多いけれどアイシングが施してある。生地は原料も製法にもこだわっているのにこの価格。プラハの半分か1/3くらい。本当に安い。田舎価格なのかな…。

 

Yさんがあとからポツリ。「女性スタッフが何度かヤノシュ氏を呼びに来てたの通訳しなかったけど、製造室に早く来てくださいって。忙しい中でも取材に応じてくれてよかった」と。

経営者としても、大きな特注品を製作する職人としても、そして創造性豊かなアーティストとしても尊敬すべきパベル・ヤノシュ氏。取引ではない日本からの取材に貴重な時間を割いてくれたこと、丁寧に説明してくれたことに感謝です。お会いできて本当によかった。Yさんのコーディネイトと通約に心からの感謝!