ペルニークを求めて初夏のチェコへ 4 (Muzeum perníku a pohádek)

6月2日、パルドビツェで取材3件目。ペルニーク博物館です。

プラハにあるジンジャーブレッドミュージアムは店舗であり素敵なジンジャーブレッドを販売していますが、こちらのペルニーク博物館は本物の博物館。お店ではありません。

 

ヤノシュさんの工房からレストランで休憩してタクシーで博物館へ。

住宅街を通り、古城を見ながら鬱蒼とした林道を抜けると博物館があります。パルドビツェ駅からタクシーで20分くらい。ここまで来た日本人は何人いるだろう?というくらい観光地とは無縁の場所です(笑)

空は快晴、平日ののんびりとした空気が漂う午後、赤壁の家のような建物へ。ガイド付きの入館料70コルナを支払って待っていると、上品な年配の女性が笑顔でやってきました。

右の入り口から入ると、ヘンゼルとグレーテルの童話の内装が作られています。博物館の建物は童話を模して建てた家なのだそう。

写真の黄色い看板の4つの穴は太っているかどうかを試す指の穴なのだそう。作りが凝ってます(笑)

でも、チェコ版ヘンデルとグレーテルはグリム童話の内容と解釈を少々変えているらしく、チェコに元々伝わる優しい魔女が描かれているらしい。

 

何にしてもお菓子の家というモチーフは世界共通のようで、家型のペルニークを沢山見ました。そして、展示室には世界から集めたヘンデルとグレーテルの童話本がありました。もちろん日本からも!(下の写真:日本語版は写真左上の方にあります)

博物館の中は展示室が細かく分かれていて、ヘンデルとグレーテルにまつわるお話しが終わると「では魔女を読んでみましょう〜」とガイドさんが言いドアをノックすると奥から返事が・・・。

何とも凝った設定です。ドアの奥には魔女がいました。しかし何故か男性(っていうかおっちゃんだった)。部屋の作りは素敵で、オーブンを備え室内で伝統的なスタイルの型押しペルニークを制作。型抜きの実演や木型の説明も詳しく教えてくれて。

おっちゃんやー!と思った魔女の男性は親族が木型職人とのことで木型に詳しく、最短でも制作に三ヶ月かかること、長いもので三年、使う気はフルーツ系の木などと色々教えてくれた。

木型を持つおっちゃんのオナカ、ちょっと出過ぎ(笑)

こんな素敵な工房でペルニークを作りたい・・・。

 

ペルニーク木型も芸術品であることに驚き、チェコ人の手仕事のすばらしさに感動。チェコ人の子供たちがもっと博物館に来たら良いのに勿体ない。そんな思いを通訳Yさんに伝えてもらうと、魔女のおっちゃん曰く「チェコ人たちは日本の柔道を習いに行き、日本人がペルニークを習いに来る(笑)」。

なお、木型職人はペルニークのためだけでなく染物などの木型も制作するそうで、チェコの手仕事の中に息づく職人技であるとのこと。

 

ここの製造風景の部屋を出ると、いつくかの童話のような展示室があり出口へ。最初は子供向けの展示かなと思ったけど、ガイドさんのペルニークの説明は素晴らしく、歴史背景を分かりやすく教えていただくことができたので、十分大人向けの博物館でした。

午前中に取材したヤノルバさんとヤノシュ氏の作品も展示されていて、パルドビツェがペルニークの町であることを証明し、皆で作り上げていることが伺えた。

この博物館はパルドビツェの町営でなく、私営とのこと。ガイドの女性は館長のお母様で親族達に伝わるペルニークの話しやペルニークに関わる人たちから聞いた話しをまとめてきた、とのこと。それを私営で博物館を作り運営しているのだから本当にすごい。

そんなガイドさんからペルニークの本をいただいた。英語なので何とか日本語に訳したい。できればいつかペルニークの和訳本出したい・・(妄想)。味のある写真が掲載されています。

「ペルニークの町、パルドビツェ」

ISBNコードがないので書店販売はなく博物館だけの扱いのようです。