「ペルニーク」カテゴリーアーカイブ

JR京都伊勢丹さんWEBでXmasギフト販売中です

今日の帯広は雪。

クリスマスの頃には根雪、今年もホワイトクリスマス間違いなしです。

冬の十勝、菓音クリスマスギフトのご案内です。

 

プラハと姉妹都市の京都。

歴史ある街、京都の伊勢丹さんでチェコの伝統菓子ペルニークギフトを販売しております。

 

チェコで古くから作られているお菓子、蜂蜜とスパイスを使った「ペルニーク(英訳、ジンジャーブレッド)」に細かいアイシングを施したもの。

チェコで教えていただいたレシピをもとに、十勝産小麦や鶏卵、蜂蜜、北海道産のバターや甜菜糖を使用して生地を数日寝かせて焼き上げ、アイシングを一色ごとに乾燥させて細かい模様を描いていきます。完成まで長いもので一週間ほどかかります。

チェコでは寒い冬、温かい室内でスパイスの香りを楽しむ暮らしがあります。壁にペルニークを飾り、ロウソクを灯すとスパイスの香りが部屋に立ち込めるのだそう。心も温まりそうです。

素敵なチェコの空気とともに、クリスマスのペルニークギフトをお届けしたいと思います。

 

WEBからご注文いただき、全国へお送りいたします!販売先は以下へ。

JR京都伊勢丹さんのクリスマスギフト(←クリックするとサイトへ行きます)

JR京都伊勢丹さんのクリスマスカタログ

9/27~伊勢丹新宿店・B1「マ・パティスリー」さんでハロウィン菓子

日本にも定着した感のあるハロウィン。

十勝にいるとカボチャの収穫時期だわ〜という9-10月ですが、ハロウィンは宗教的なお祭りで日本のお盆のようなもの。

というこはさておき、9月27日(水)から伊勢丹新宿店B1洋菓子のマ・パティスリーさんで2種類だけ販売いたします。少量なので見つからなかったらスタッフさんにお声がけください。

 

黒地のかぼちゃに刺繍柄をあしらったデザインと、素地に艶出しをして白アイシングでお城を描いたデザイン。

生地はチェコのペルニークという伝統菓子のレシピ、十勝産の小麦と鶏卵、北海道産の蜂蜜とバター、甜菜糖、それにスパイスを加えて焼き上げた香ばしいお菓子です。

東欧のソースを添えたハロウィンクッキー、宜しければお手にとっていただけましたら幸いです。

ペルニーク(ジンジャーブレッド)を求めて初夏のチェコへ 総まとめ1

昨年、チェコのペルニークという伝統菓子を知ってからちょうど一年。

今回チェコ在住のYさんにコーディネートと通訳をしていただいてのペルニーク取材旅。予想以上に収穫と出会いの大きな旅になった。これを読まれた方、ペルニークに関心のある方、よろしければ1〜10の旅の様子をご覧いただけましたら幸いです。

写真はチェスキークルムロフのペルニーク。オールドタイプ・壁掛け用。

 

旅のまとめとして、ペルニークの説明を少しばかり。

*ペルニーク(perník)はチェコの伝統菓子。

英訳はジンジャーブレッドですが、私個人の印象は欧米のジンジャーブレッドとはレシピも背景も異なりチェコ独自の伝統菓子という印象。

 

*ペルニークの歴史は古く、記述に残っているのは1300年初期の頃。

ルーツは古代エジプトで蜂蜜やスパイスを使用したパンにまで遡るらしい。

ペルニークの名前は、当初は胡椒(ペッパー)を使用し、胡椒のラテン語に由来するとのこと。ただし、現在は胡椒はほぼ使用していないのだそう。

 

*チェコで最初にペルニークを作ったのは男性修道士。

パルドゥビツェで聞いたペルニークの歴史。古い時代、修道院で作られたきたとのこと。ヨーロッパでパンは修道院にある窯で作られていたと聞きますが、それに近いことかもしれません。

またワインにあうお菓子をということでスパイスやハーブをきかせたペルニークが作られていた、とも。何にしてもこの当時はスパイスが大変貴重なものであった時代、ペルニークも高価なものであったと想像します。

 

*ペルニーク作りが盛んな町、パルドゥビツェ(プラハから東へ鉄道で約1時間)。ペルニーク工房が数社、ペルニーク博物館があり「ペルニークの町」として知られている。

マリアテレジアの統治時代に製造権を渡されたという説や周辺で小麦や蜂蜜、杏など原材料に恵まれていた等の説あるようです。また「パルドゥビツェのペルニーク」としてEUで商標を取得しており、パルドゥビツェで製造し使用原料にも規定があり、町でペルニークの品質を守っていることも大きな要素のようです。

 

*ペルニークの木型。

上の写真のように古いタイプのものは型押し。木型を使います。その木型はりんごなどのフルーツの木とのこと。制作には3ヶ月から長いもので3年もかかるとのこと。ペルニークの木型も芸術作品です。

 

*ペルニークのレシピは門外不出。工房での作り方やレシピは門外不出でその家に代々伝えられてきた秘伝のもの、とのこと。

製法についての詳細は秘密としながら、パルドゥビツェのヤノシュ氏はペルニーク生地を焼成前に三ヶ月熟成させるとのこと。そうすることでスパイスの風味がまろやかに豊潤になるとのこと。

生地を熟成させてからイースト菌を加え発酵させて焼成。クッキーではなくパンに近いソフトな食感。

チェコには「女の子が生まれたらペルニーク生地を作り保存させて成人の日にペルニークを焼く」という言い伝えがあるそうで、「生地を長期熟成させる」こともチェコ独自の製法のようです。

(家庭で作られるペルニークは長期熟成はしません)

 

*チェコでは「食べる用」「飾る用」のペルニークがあり、「食べる用」はパン(味噌パンが近い感覚!)のようなものからソフトクッキーのような食感のものまであるものの、食べて美味しいレシピを使用。「飾る用」は固いものは本当に硬くてそのままでは食べれないほど。スパイスの香りを楽しむために壁にかけたり、Xmasオーナメントにするとのこと。

工房やお店、個人作家さん、皆レシピや製法は違っても一様に「食べる」「飾る」の用途を分けて製造販売。

 

*ペルニークを粉末にして調味料に。焼きあがったペルニークを粉砕、粉状にして料理などにかけるという使用法がある。実際、ペルニークを粉末として販売している店舗あり、カフェでも伝統料理に粉末を提供しているところもある。

おかゆ、スープ、肉料理、クネドリーキ、様々なものにかけて甘いスパイスとして楽しむ習慣がある。

 

*ペルニークのスパイスは作り手それぞれの配合。古い記述によると90種類ものハーブやスパイスを調合していたとの記載も。現在は名前の由来になた胡椒はほぼ使われていないものの、ジンジャーとシナモンは一般的、他は工房それぞれで異なる。

ひとつ際立って興味深かったのはラベンダー。プラハのペルニーク店でドライの花弁を粉末にして使用して作り販売しているとのこと。その味は独特、もしかしたら苦手という人もいるかも?という味わい。北海道にもラベンダーありドライも入手できるので一度トライしてみたい。

 

*ペルニークにはクッキータイプとケーキタイプがある。

クッキータイプの中にも食べる用・飾る長期保存用があると記載しましたが、それ以前にクッキーのように型抜きしたもの、カステラ生地のようなケーキタイプのものがあり、後者はペルニーキ(perníčky、ペルニークの複数形)で記載されることが多い。四角にカットされたソフトな生地にジャムを挟んだもの、さらにチョココーティングされたものなどがある。

 

・・・文字文字の説明ばかりになってしまったが、ペルニークは本当に奥深いです。

一度の取材では終わらず「ここが始まり」という気持ちです。少しずつペルニークを試作し自分なりに解釈し、作っていきたいと思います。それは同時にチェコの伝統を感じていくことでもあり、楽しみであります。

 

 

 

 

 

ペルニークを求めて初夏のチェコへ 10 (ペルニーク作家ペトラさん)

6月5日最後の訪問先、ペトラさんのご自宅へ。

プラハ市内から少し離れた自然豊かな地域の素敵なご自宅でペトラさんご夫妻が迎えてくれた。大きめのペルニークを10点ほどご用意くださっていて、どれも本当に素晴らしい作品。なのに写真を撮り忘れた〜!

無事に持って帰れたペトラさんの作品の一部。

 

ペトラさんは独学で製菓を学び、マジパンやシュガーペーストを使用したオーダーメイドのケーキを製作してきたとのこと。何十点にも及ぶケーキの写真を拝見、センスの良さと技術の高さが伝わってくる。独学で、ということにも驚くほどの作品。

ペルニークの製作も独学、書籍をみて試作しながら作ったとのことで、「伝統については日本のアナタの方がよく勉強している」と笑っていた。

ペトラさんのスゴイところは技術の開発力(というか根性)。より良いものを求めて素材は配合を徹底的に試す。「食べるもの」「飾るもの」という双方で最良のものを追求する情熱。

 

ペルニークは「飾るもの」「食べるもの」に分かれる。これは今回のチェコで工房でもお店さんでも聞き、チェコ人が用途別にレシピを使い分けていることに驚いたことでもありますが。ペトラさんも同様にレシピを使い分けて製作。

そしてレース模様のアイシングが一番の関心だったのですが、ペトラさんのアイシングを作る過程から施す技術にも驚愕。教科書に頼らない独自の最良の製作法を編み出し原料も何通りも試して硬さ・絞りやすさを調整している、独学だからこその技。

 

私自身も製菓は独学、教科書に頼らないからこその良し悪しを多々味わってきた。失敗もたくさんしてきた。失敗は怖いことではなく次によいものを作るタタキ台とうい意識。やり方を知っているから強いし、より良い方法を試すことも知っている。

ペトラさんの技術や作品は追いつけないほど遠いけど、それでも同じ独学の製菓業者として共感できることが沢山あり、ときにペトラさんの経験話に涙しながら聞き入ってしまったり。お会いできて、菓子職人としてお話しできて良かった!と心から思えた貴重な時間だった。

個人作家さんのペトラさんをコーディネートしてくれたYさんにも心から感謝!

 

 

ペルニークを求めて初夏のチェコへ 9 (書籍Perníkyの著者)

6月5日の午後、書籍Perníkyの著者であるクヴィェタ・コレチュコヴァーさんとカフェでお会いすることに。

Perníkyは昨年のチェコで購入したチェコ語のレシピ本。チェコ語なので写真を見るだけだったものの、歴史や原材料、レシピなど幅広く記載されている書籍。私にとっては唯一の教科書ともいえる大切な書籍。その著者に会えることが本当に嬉しかった。

 

クヴィェタ・コレチュコヴァーさんは60代後半くらいの魅力溢れる女性。コーディネイターYさんからの事前の連絡で「甲賀さんの黒地の花柄のデザインに非常に興味を持たれている。彼女の製作する陶器に同じような黒地の絵柄の作品がある」といただいた。

旅の直前にコレチュコバーさんの書籍のレシピを2種類、google翻訳で原材料名を訳して試作。生地の水分量とスパイスの種類・分量はかなり適当!それでもペルニークに近いものができ、写真のものをコレチュコバーさん用に包装して持参。

 

昨年ペルニークを知り、美しいデザインとスパイスの香り、味に魅了されたこと、お土産に買ったのに旅行中に食べてしまったこと、そして書店にあったPerníkyの本を購入。ペルニークは単に美味しいお菓子でなく伝統のあるお菓子であることを知ってますます興味を持ったことをお伝えした。

コレチュコバーさんは通訳Yさんの言葉に大きく頷きながら嬉しそうに微笑んでくれて、私自身も心が熱くなった。

 

コレチュコバーさんは村のおばあさんのレシピを知り、ペルニークに興味を持ったけれど誰も教えてくれなくて一人レシピ開発をしたのだそう。何度も試作して、作りやすいレシピを開発したとのこと。

ご自身で苦労しながらレシピ開発したこともあり、今回お会いして本当にたくさんのことを教えてくれた。生の生地を作って持参していただき、生地の状態や小麦粉やスパイスのことを一つ一つ丁寧に教授してくれた。

チェコと十勝の小麦の違いも感じた。ライ麦についてはチェコで購入してみて、とラベルを渡され、最終日になんとか購入!どんな違いかはまたこれから試作してみて、なのですが・・・。

 

師匠がいない私にとってコレチュコバーさんの存在は本当に大きい。レシピや作り方を教えてくれるだけでなく、おばあちゃんから受け継ぐ家庭のおやつとしてのあり方を教えてくれたこと。そしてペルニークだけでなく陶芸作家としても活躍しながら、地域の素材を生かしたお菓子の本を製作中、日々レシピを開発していること、お忙しそうな様子だけど人生を謳歌している空気が伝わってきて人間としての魅力を感じた女性だった。