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Dr.コトー診療所 2022

2006年の上映から16年、吉岡秀隆さん演じるコトー先生が再びスクリーンへ。出演者さんもスタッフさんも皆んな同じメンバーで16年ぶりに揃うこと、本当に素晴らしいです。

離島の医療と人間ドラマが素敵で、ドラマを思い出すと主題歌「銀の龍の背にのって」が自然に頭の中に流れます…

そして「Dr.コトー診療所 2022」12月16日公開前にクッキーギフトを製作いたしました。

着色は全て天然色素。透明ケースに入れて完成。

16年時を経て、シルバーグレイの吉岡秀隆さんに深みを感じました。原作の漫画に魂を吹き込んでコトー先生が息づく、吉岡秀隆さんの演じるコトー先生、本当に素敵です。

そして、俳優さんて本当にすごいと思うのです。その役の、その人の人生を生きる、役が終わると自分に戻る、想像を超えるお仕事です。仕事というより表現者?アーティスト?適する言葉が見つかりませんが、「感動を生み出す人」だと思います。

非公式のクッキーギフト、スタッフさんに無事に受け取っていただき、ほっと一息。心から映画のご成功をお祈り申し上げます。

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一昨年、与那国島へ行きました。ロケ地のDr.コトー診療所は健在で、観光客もほとんどいなくて。一人でゆっくりと診療所を拝見して海辺でのんびり過ごした素敵な島時間でした。このお話しはまた改めて…

NHK北海道さんの4K番組「てしごと北海道」、収録

先日、NHK北海道さんの番組収録をしました。「てしごと北海道」という道内放送の番組です。

毎月最終土曜日、朝7:30〜8:00「おはよう北海道」の中の5分間。

4K映像ですが、放送は画質を少し落としてハイビジョン放送。映像にこだわり、ナレーションは入れず音楽も最低限。作り手の語りと作業の音、そして作業工程をしっかり見せるという番組です。

NHKさんなので屋号(十勝菓子工房 菓音)は出せずですが、アートクッキーの製作の様子を公開します。

大判アートクッキー、通常1週間ほどかけて製作しますが、6時間の収録に短縮。生地の状態と、同じものを3枚作り収録に備えました。

約14cm角のサイズ、十勝の四季を表現したアートクッキーも収録に備えて製作。一気に7枚の大判製作、なかなかない経験でした^^

製作までに事前取材、取材後もメールとお電話で綿密なやりとり。工程が細かいので作業も分刻みでタイムテーブルを組み、どの角度からどんな風に撮影するかを想定して収録の流れを組んでいきます。

ディレクターさんが「どうしたらこの作業、作品を映像で表現できるか」をじっくり考えてくださり、アイデアをいただいてこちらも「こんな風にできるのでは」と投げ返す、その作業がとても楽しかったです。

11月上旬、繁忙期に入る一歩手前、急ピッチで準備を進めて収録に入りました。

4Kカメラ!! 以前のNHKさんの「あさイチ」でお世話になったカメラマンのS氏、再びの収録で嬉しかったです。札幌から駆けつけてくれた照明K氏も「あさイチ」からの再会。音響さんの機材が初めて見る高性能マイク、これも興味深かったです。

描く様子を超近距離で撮れるレンズで。虫を撮影したりするのに使うレンズだそうですが、この時は数ミリの牛を牧場に描くというシーンを撮影。

アートクッキーを並べての撮影も。

静止画ではなく映像、どんな風に伝えるのか、静止画の1枚とは違い、カメラの視点をどのように動かしていくと伝わるのかを常にカメラマンさん、ディレクターさんが考え、照明さんと音響さんがその映像を作るための最高のパフォーマンスをする、そんな連携プレーが素晴らしかったです。

作業が全て終わった最後に、音響さんが「工房の音のない音」を収録していました。数分間の沈黙。けれど、全くの無音ではなく、その場の空気感と音があるのですね。この番組、そういうものも、場を伝える要素として収録をされていたことが興味深かったです。

語りの収録、話すことには未だに慣れません。同じことを3度くらい収録してもらったり、言葉を引き出すようにディレクターさんが根気強く言葉を投げかけてくれたり。ナレーションが入らないので、視聴者に分かるように主語を入れて話す、意外と難しかった…。

十勝菓子工房 菓音を始めようとした時の想い

十勝の小麦をはじめ、十勝産の食材が素晴らしくて伝えようと思って始めた製菓業

そして十勝を丸ごと伝えるアートクッキーの製作

言葉足らずですが、少しでも伝わったら…と思います。どんな映像になっているのか楽しみであり怖くて見られないという気持ちもあり、ですが、「十勝の食材や魅力、ここで暮らし製作できる幸せ」そんなことも伝わると嬉しいなと思います。

最後に…

今回の肩書きを「菓子作家」 甲賀静香 としました。繁忙期でアートクッキー製作をお受けすることが難しいため、菓子職人や菓子工房代表という肩書きを控えました。一点ものの製作を行いたい気持ちはありますが、時間もエネルギーも必要なため来春に再開できればと思います。

それまでクリスマス、お年賀、バレンタイン、ホワイトデイの製作に精力を注いでまいります。これからも見守っていただけましたら幸いです。

 

歴史あるハープをアートクッキーに…

ナーデルマン・ハープ、約250年も前 マリー・アントワネットの時代の、初めて拝見したハープでした。

1か月ほど前にお受けしたクッキーギフト、物語の詰まった美しいハープをお菓子で描いて欲しいとのご依頼。以前、ラテンハープを弾いてた身としても、楽器そのものへの好奇心もあり、じっくり取り組みたい作品でした。

いただいたお写真やCDジャケットのデザインを何度も見て、構図を決めてクッキーに描いて。半立体になるように、美しい装飾部分が浮き出るように…

ご依頼主さまやお贈りになる先さまのお名前やお誕生日は伏せるということで、お写真を掲載させていただきます🙏

頭部の巻貝のようなデザイン「エスカルゴ」、ヴァイオリンの先端部分と似ている気がします。ヨーロッパでこの渦巻き型のデザインは美しい形だったのでしょうね。そして蔦のデザインや優雅な曲線も。

左端のグレーのレース部分にはある楽曲の1フレーズを。お贈りになる方のお好きなオペラの曲、ハープの楽譜を拝見して、そのような雰囲気で入れさせていただきました。

ケースにお入れして紅白の糸で結んで完成です。

ご依頼主さまからお贈り主さまへ無事にお渡しできたご連絡をいただいた時、ホッとした気持ちと、このお仕事のさせていただいて良かったという嬉しい気持ちでいっぱいでした。Y.I.さんへ心から感謝です。

ご依頼主さまから後日にいただいたメッセージに、ナーデルマン・ハープのご説明をいただきました。少しだけハープのマニアックな情報をこちらにも。

1700年代のハープはシングルアクションハープという、後の1810年に発明されたダブルアクションハープの前のもの、半音を出すために改良されたハープ。フランスでよく使われ、マリー・アントワネットが好んで宮廷で演奏しパリのサロンで流行したようです。マリー・アントワネットの専任のハープ製作者だった「ジャン・アンリ・ナーデルマン」、改良を重ね装飾を加えて美しく仕上げたハープの制作者、ナーデルマンの製作したものだけに与えられる名称が「ナーデルマン・ハープ」なのです。

約250年も前、フランス革命の中を生き残り、長い間 古城で眠っていたハープが奇跡的に良い状態で発見され、日本に渡ってきた…ハープの長旅を考えると、本当によくここまで辿り着いたなと感動します。

ナーデルマン・ハープが世界に何台残っているのは不明ですが、ヨーロッパの美術館や博物館をはじめ日本にも所蔵品として現存しているようです。その音色の特徴はチェンバロに近いものとのこと。マリー・アントワネットが奏でた音色、時を超えて想像だけが巡ります…

Y.I.さん、この度は素敵なハープのご縁を、ありがとうございました。

刺繍クッキー

東欧のお菓子や刺繍に魅了されて作りはじめた刺繍クッキー。

細い格子の線や花柄が難しくて、満足には程遠い。でも、作っていて楽しい。

そんな刺繍クッキー。

 

ベースは、チェコのペルニークという伝統菓子。ジンジャーブレッドに細いアイシングを施したものが一般的だけど、1300年代から作られていたスパイスや蜂蜜を加えて焼いた硬いものだったのだそう。

いつから繊細なアイシングが施されたのか、日本語の資料がないので現地で調べるしかない。手元にあるチェコ語の「ペルニーク」という本は、未だ訳せずに置いたまま…。

 

一方、ハンガリーのカロチャ刺繍。華やかな花柄の刺繍、カロチャという地域周辺で生まれた伝統的な刺繍なのだそう。花弁や葉がふっくらと少し盛り上がったような感じで、描き方もまるみを帯びていて愛らしい。

花柄で家がわかる(家紋のようなものなんでしょうか)とか、色に意味があるらしい。特に紫色は「悲しみの色」らしくて、喪服などに用いられたのだとか。

 

そんなチェコのペルニークや、ハンガリーのカロチャ刺繍。どちらも素敵な伝統品。それをモチーフにアイシングクッキーを作りたくて、試作中です。

来春、少量だけど販売する予定ですので、改めてご案内したいと思います。

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東欧の素敵なものをモチーフに。

新しいデザインのアイシングクッキーを作りたくて昨年あたりから模索、

チェコに「ペルニーク」というアイシングをあしらったジンジャーブレッドがあることを知り、今年5月にチェコへ。実物はとても素晴らしく、繊細なものでした。

今まで見ていたヨーロッパからアメリカへ渡った流れ、もしくはイギリスで「ロイヤルアイシング」として確立されてきた美しいスタイルとは、また違うもの。

チェコに根付いた華美ではない、優しくて繊細なアイシング。

 

ベースとなるジンジャーブレッドは1300年代頃には作られていたとされる伝統的なもの。貴重だったスパイスを何十種類も調合し、はちみつを加えて焼いた硬いものだったらしい。型に押し当てて焼かれたジンジャーブレッド、硬いのですりおろしてスープに入れて食べたという記述もあるほど。

それがいつの時代に美しいアイシングをほどこされて飾ったり贈るものになったのか…。まだまだ知りたいことはあるけれど、チェコの色合いやデザインが好きで、そのソースを少しいただいて新しいクッキーを作ってみることに。

 

一方、ハンガリーに「カロチャ」という伝統刺繍がある。花をモチーフにした鮮やかで美しい刺繍。チェコやポーランドにも同じような刺繍があり、民族衣装にあしらわれているけれど、ハンガリーのカロチャが一番有名なのか情報量が多い。

そして、このカロチャをモチーフにしたアイシングクッキーを制作している女性が数名いることを発見。アイシングの素材や表現に合うみたいで、私もそれに習ってみようと思う。真似にならないように、カロチャを美しいと思う気持ちと、自分が作ってきたアイシングに沿う形。

 

チェコのペルニークと、ハンガリーのカロチャをソースにいただいて、草花とレース模様や雪の模様をモチーフにしたデザインを描いてみようと思う。

久々に作っていて「楽しいー」と思た作品。

細い線や、細かいレースデザインになれるよう頑張ろう!

 

新しいデザインのこのアイシングクッキー、9月3~4日の札幌イベントに出品します。森彦さんの白石の「プランテーション」さんで行われるマルシェです。

よろしければ見にいらしてください♪

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