チェコへ来たかった一番の目的、伝統菓子「ペルニーク」。

ジンジャーブレッドとも言われているペルニーク、土台はスパイシーな生地でクッキーとは少し違う、密度が低く軽めだけど硬い、パンとも違うソフトでなくハードなもの。スパイスや蜂蜜が使われていて、少し濃い茶の生地、日持ちがするお菓子。その生地の上に、繊細な刺繍のようなアイシングを施したもの。
昔は上左の写真のような、型に押し当てた硬いクッキー状のものだったらしいけど、時代とともに軽めの生地となり上右の写真のような装飾されたものになっていく。クリスマスの時期になるとマーケットで沢山売られるそうで、ハート形が多いのですって。
ガイドブックを見ていて、ハート形の大きなクッキーに繊細なアイシングが施してある写真があって、もう釘付け。ペルニークという聞いたことのない響きの名前。
欧米から日本に伝わったアイシングとは違う流れのようで興味津々、これが今回の旅のきっかけとなった。
チェスキークルムロフにあるお店、「チェスキーペルニーク」。
お城の城門、すぐ目の前にあるお店。入り口もショーケースもかわいい。


日本にはペルニークに関する資料が薄く、ネットでわずかな情報があるくらい。チェコ政府観光局に問い合わせても、ガイドブック以上の情報は得られなくて。今回の旅は下調べという感じなので、まずペルニークがどんなものなのか現物を知りたい、と。そうして辿り着いた最初のお店、感激もひとしお。写真の許可をいただいて沢山撮ってみた。



デザインの多さにびっくり。ハートの形も多様だけど、家やお花、楽器、ベビーのお祝い、踊り子、動物…。色合いもパステル形だから美味しそうに感じるし、土台がクッキーよりも軽くハードで意外に割れにくい。生地にスパイスを使っているから濃い茶で白いアイシングが引き立つ。
アメリカにあるアイシングクッキーとは別世界。やや北欧の雰囲気に似ている気がする。
「この世界素敵。ペルニーク作りたい!」
一瞬で引き込まれてしまった。
日本に情報が薄いので、次回詳しく調べに来たい。この美しいジンジャーブレッドを日本に伝えたい。その前に、この歴史を知りたい。小さなお店の中で妄想状態。
このお店に六カ国に翻訳された説明書があり、日本語も!!
チェコでこのペルニークに関する記述は1335年のものが最も古いらしい。680年、それよりも前からあったお菓子。90種類ものスパイスを調合していたのだとか。
昔のものはアイシングがなく、型押しタイプが主流。
それぞれのモチーフに意味があって、宗教、風景、建物、いろいろある。穴が開いてて壁に飾ってある。クリスマスのオーナメントで見かけるけど、壁掛けは初めてみた。チェコならではなのかな?


昔は薪を焚いて釜で焼いてたのだよね。まさにピザ釜のような…。熱が難しい中でクッキーを焼いていたと思うと昔の人はすごい。その分、味も今より美味しかったかもしれない。直火焼きの味わい。
そんなことを思わせるディスプレイが素敵。こんなところで昔は作ってたのかな。
伝統的な型抜きタイプを購入、箱が段ボール地なのにデザインがすごくイイ。田舎町のペルニーク屋さんなのに素敵すぎる。

他にも、アイシングタイプのものを沢山購入。デザインや大きさによって違うのだけど小さいものなら300~500円くらい、大きいモチーフで1000円前後という感じでしょうか。小さいものは割れにくいのでお土産にもオススメ。
箱入りの型押しタイプは199コルナ(1,000円弱くらい)。贈り物にもいいかも。
ペルニーク、日本で作ってみたいし、ジンジャーブレッドの配合を知りたい。パルドヴィツェという町があるらしく、そこはペルニークを沢山作っているらしい。次回のチェコはペルニーク旅をしよう。
チェコ以外、ハンガリーにもペルニークに似た発音のジンジャーブレッドがある。最近、若手の作家さんが有名で、カロチャというハンガリー刺繍をモチーフにしたジンジャーブレッドを製作している。あまりにも美しく素敵だったので、「次回ハンガリーへ行ってアトリエへお伺いしたい」とメールしたら「この夏にアトリエを新しくするから、ぜひ来たら連絡ください」とのこと。
来たばかりの初チェコなのに、もう次の旅を妄想。
そんな初チェコ、初チェスキークルムロフでした。