このカステラは、卵の力がとても大きい。

試作時に十勝の養鶏場を５箇所訪ねて探し求めた、北養鶏場さんの卵。

卵は、鶏が食べたものがそのまま形になり、それが焼き菓子にも影響する。

平飼いで自家製の野菜を発酵させたものを飼料にした養鶏場さん、卵は素晴らしいけれど、野菜の発酵臭がカステラに出てしまう。

同じように、魚粉を混ぜた養鶏場さんのものは、魚粉の風味がカステラに出てしまう。

行き着いたところが、十勝・鹿追町の北養鶏場さん。

もともと農家さんが本業で、自家製の鶏糞の堆肥を作りたいと飼い始めた鶏。どうせなら卵も美味しくしようと、色々な飼料を試して今のヨモギや貝化石などを混ぜたものを使用、また殻を固くするためにホタテでなく、少々高くても牡蠣の殻を使ったり。

黄身が甘くて力強い上、卵の殻が硬くて、木のテーブルだと木が欠けてしまうほど。そして何より、カステラにバニラ風味を入れなくても、どこか甘いバニラのような風味がふわっと香る、ほかの卵にはない特性。

十勝すふれカステラは、北養鶏場さんの卵だから成り立っているといえるくらい、卵に助けられている。