ペルニークを求めて初夏のチェコへ 8 (Café Savoy)

6月5日、午前中に二軒のペルニーク店を訪問しお昼はカフェへ。このカフェもペルニークにまつわるもの、そしてチェコの伝統菓子を味わいに。

 

ところで、チェコの伝統菓子を調べると面白いことがわかった。チェコのガイドブックで伝統菓子として紹介されているmedovník(メドヴニーク)という蜂蜜ケーキがある。薄い生地にキャラメル風味のバタークリームを挟み表面はケーキクラムをまぶしたケーキ。素朴な見た目ながら割と手をかけて作るもので甘くて濃厚な味わい。昨年のチェコでもよく見かけたし実際に食べても見た。このメドヴニークが実は伝統菓子ではないらしい。

メドブニークがチェコに現れたのは1990年前後らしい。おばあちゃん世代には馴染みのないケーキとのこと。アルメニアやグルジアに似たようなケーキがあり移民者がメドヴニークの会社を設立したという事実もあるらしく、何にしてもチェコで知られるようになったのは1990年代前半から半ば頃とのこと。

ペルニークとともにチェコの伝統菓子を調べたくて、コーディネーターYさんに相談したところ判明した事実。これを短期間で調べてくれたYさん、調査能力にも秀でいる本当にスゴイ人です。

 

メドヴニークが伝統菓子ではなく今回の取材から外して、かわりに教えてくれたのがチェコの伝統菓子オヴォツネー・クネドリーキ(フルーツのクネドリーキ)。WEBのgoogle翻訳でチェコ語を入力すると「フルーツ餃子」と出てきて興味津々(笑)。

チェコはヨーロッパ各国の文化の影響を受けることも多く、ハプスブルグ家の勢力下にあった時代にその影響は大きかったと想像される。アップルシュトゥルーデルは恐らくその頃にチェコへもたらされたものらしい。という感じでチェコ伝統と思っていたけれどルーツは他国というものがある中、チェコ独自の伝統と言えるお菓子としてオヴォツネー・クネドリーキが挙げられるとのこと。

 

前置きが長くなったけど、そんな訳でオヴォツネー・クネドリーキ(フルーツのクネドリーキ)を食べにカフェ・サヴォイへ。

1893年創業の老舗のカフェ、アンティークな雰囲気が漂う店内。パンやケーキも店内で製造、どれも美味しそう。

さっそくオヴォツネー・クネドリーキを注文。そして自家製レモネードを。ラズベリー入り(だったかな)の美しい赤い飲み物。そして待ち焦がれたクネドリーキ!旬のイチゴを使用、茹でたてのプリプリのお菓子。

画像検索でも見て不思議な食べ物と思っていたけど、やはりこの姿!下に凝乳(カッテージチーズ)を敷いていて、ペルニークの粉末と溶かしバター、粉砂糖が添えられている。このセットも伝統的なスタイルらしい。

ペルニークの粉末といえばヤノシュ氏のお店やプラハのペルニーク店でも販売されていた。料理のスパイスとして使うとのこと。肉料理やスープ、おかゆなど様々な食事の甘いスパイスとして。日本ではお菓子を粉末にして料理に使うって発想が無いので、実に興味深い。

実際に食べてみる。もっちりした生地にフルーツの甘みと酸味、それにチーズのまったりとした味わいがマッチ、そこにペルニークのスパイスがピリリと効いてくる。何層にも重なった味わいが面白いし美味しい。

二口目にはバターと粉砂糖を添えて。さらにバターの風味がまったりと寄り添ってくる。Yさんが十勝には乳やチーズもあるから作れるかも、という提案に納得。紹介してくれたことに感謝。十勝でオヴォツネー・クネドリーキができたら面白いなぁ。皮は麺用小麦でイケそうだし、カッテージチーズは地元産で可能、イチゴやベリーもあるし溶かしバターもOK、ペルニークは自分で作る。完璧だ!十勝産オヴォツネー・クネドリーキ!(妄想に浸ってしまった)

1個の密度が高くもっちりしてお腹にもたまる。2個でお腹いっぱいに…。ペルニークの粉末は写真の通り。ミキサーで粉砕したような感じ。甘くてスパイシー、このままでも美味しく沢山かけてみた。

 

大量に写真を撮っていたら向かいの席にいた男性もカメラを取り出しプレートを撮影していた。カメラはソニー。ちょっと嬉しい。

コーディネイターYさんの話によると、チェコ人の日本人への印象は良いらしい。色々な素晴らしいものを発明した国とのことで、日本とその他アジア諸国というイメージらしい、とのこと。

昔、フランスの地方都市で日本人は見下されて相手してくれない空気感を感じたことがある(まれにだけど)。一方でフィンランドへ行った時は親日家が多く(日露戦争で勝利した日本、ってことで)握手を求められたこともある。

なので、チェコは?という質問に答えてくれた結果だった。

ちょっと嬉しいチェコの日本事情。何にしてもチェコは美味しいもの、美しいものが沢山詰まった国ということが判明。また行きたい。