ヘルシンキ 11/24

ヘルシンキ滞在2日目。サンクトペテルブルクよりも緯度が高いので朝が遅いです。9時半頃に薄明るくなる感じ。朝食の時間は夜のように真っ暗です。

リラロバーツの朝食は隣接のレストランのビュッフェ、朝から彩り豊かなメニュー、旅先で朝食はたっぷりいただきます♫

 

フィンランドは黒パンが多いです。ライ麦を使用していることやモラセス(砂糖を精製する時に出る茶色の蜜)を使用していたり。フィンランドの黒パン、コクがあって風味豊かで美味しいです。

食器のデザインはクラウス・ハーパニエミさん。伊勢丹さんで知ったフィンランドのイラストレーターさんで、その世界観が好きです。フィンランド現地で出会うと嬉しくなります。写真はボケましたが、大きなカップ、素敵なデザインです。

 

食後、チェックアウトして一つ目の予定、現地在住日本人の取材を。建築家であり在芬40年にもなるKさん。「フィンランドがなぜ心地よい暮らしなのか」という疑問の元、社会システム、政治経済、暮らし、建築などお伺いできる範囲で聞き取るという取材。

私ごとですが、20年以上前にフィンランドに移住しようと思ったことがありました。EU加盟前と後に5回ほど。そのうち一回はラップランドのイナリ村という最北端の村にショートステイ、素敵なホストマザーと料理をしたり福祉システムについてお話ししたり。週末には家族で湖畔の別荘へ行き、湖で泳ぎ、焚き火でソーセージや魚を焼いていただく暮らし。冬に再訪した時は長く暗い夜(黒夜)の生活、厳しい冬の自然と暖かい人々の暮らしを体験しました。英語が堪能でなかったため、社会システムの細かいところまで理解しきれませんでした。そして、移住したい気持ちはありましたが、日本での仕事(前職の通販バイヤー業)にやりがいを感じ、移住を見送りました。その後、フィンランドから離れていましたが、時を経ての再訪、今回改めて「フィンランドは当時から変わったのか、福祉社会はなぜ成り立つのか」を知りたい、と。

時間いっぱい取材させていただき、最後にカフェでお茶をいただき、フィンランドの今を少し垣間見ることができました。

カフェ・エスプラナーディでシナモンロール。フィンランド流はアメリカと少し違う横巻きロールが定番です。

Kさんがすごいのは建築家という域を超えて、社会システムを細かく説明してくださったこと。フィランド、汚職が限りなく少なく、合理的だけど人間的な社会、その根本にあるもの。日本にはないもの…。

税金が高くても、学費は大学まで無償、セイフティーネットがあるから安心して暮らせる社会、税金の使用用途が見えていて、自分たちもお世話になったから税金が高くても支払おうと思える、というKさん。

残業すると会社が支払う税金が高くなるそうで、「残業するなら人を雇いなさい」というシステムになっているのだそう。終身雇用制ではない分、役割がはっきりしていて個々に上げるべき成果が見えていて、転職は当たり前。ドライな面もあります。成果がなければ交渉の末、解雇も当然、と。

日本とフィンランドの違いを改めて感じました。フィンランド、合理的だけど、人間的で自然と人が近い暮らし、未来に希望が持てる社会。資本主義の中で可能性を感じる国です。全てが成功しているわけではありませんが、人口約550万人なのでダメな政策と思ったらすぐに改善する、良いと思う政策があればすぐに試してみる、フットワークが軽いこともフィンランドの素晴らしい部分です。

日本は島国・小国と言いながら、1億2000万人以上のある程度の規模と歴史ある国、身動きが取りにくい状況。未来に向けてどう舵を切るのか。フィンランドの仕組みを、そのまま日本に取り入れることは難しい。反面、島国で単一文化だからこその良い部分もあります(単一と言い切れない部分もありますが…)。海外に出ると日本の良さを感じることも多いです。

フィンランドで取材をしながら、色々考えさせられました。そしてすっかり文字だらけの超長文になってしまいました…。

この日の午後はマリメッコへ。一旦切って次の記事へ。