「サンクトペテルブルク」カテゴリーアーカイブ

サンクトペテルブルク 交流事業・6(11/22 )

交流の最終事業、和食ワークショップとサンクトペテルブルク市への3枚目のアートクッキー贈呈。和食職人さんは札幌市の若手の方。前回の会合で「和食の技術をサンクトペテルブルク市へ伝える」という要望があって実現。ですがEU圏と違い和食食材を揃えることに難儀、日本から持ち込む食材や調味料は膨大、職人さんも初めての場所で和食を作るのも大変、色々と準備段階から拝見して参考になりました。

当初、会場はユーラシアというロシアで一番大きな飲食チェーン店でのレストランを想定していましたが、営業時間その他の条件により急遽ショールームでの開催となりました。厨房機器などが違うので動線も気になりますし、私が講師ならかなり焦りますが…。

ショールームは厨房機器やグラスや器類を紹介・販売する施設、民間施設のようですが入り口でセキュリティチェックがありロシアならでは?です。

 

現在のサンクトペテルブルクはヨーロッパの大都市と変わりません。厨房機器や機材、食器などスタイリッシュで素晴らしいもの、共産主義時代の面影は感じませんでした。場所によると思いますが。

札幌の和食職人さん、サンクトペテルブルク市の広報担当さん、北海道庁・サハリン事務所の所長さん。斜め遠目の写真の女性、飲食チェーン・ユーラシアの社長、アーティストのような雰囲気で素敵な女性でした。

 

ワークショップは招待客のみ、サンクトペテルブルクの行政担当者、ユーラシアレストランの経営陣とシェフ、メディア、北海道庁職員と民間代表、コーディネイター、通訳、など。

ワークショップの合間に北海道産食材の紹介と説明なども。

 

職人さんを時折サポート。手まり寿司、揚げ物、焼き物のデモンストレーション。

 

段取りについては微妙なところでした。事前の調整やタイムテーブル、当日の動き綿密な設計が必要ですが・・・残念。税金で成り立つ事業なので開催側の責任があると思うのですが、ここでは言及しないことにします・・・。

最後にサンクトペテルブルク市の広報担当女性へアートクッキーを贈呈。無事3枚目をお渡しできて一息。サンクトペテルブルク日本文化センターさんも同席してくださりアートクッキーに興味を持っていただきました。

 

最後にスタッフの方々と乾杯。ユーラシアレストランのシェフさん、チャーミング!スパークリングではなくシャンパンでした!

 

ワークショップ終了後、とあるレストランへ。

 

エルミタージュ美術館や市役所のすぐそばに立つロッテホテル。その和食レストラン「MEGU」。超がつくほどの高級レストランです。政府高官や著名なアーティストが利用することもあるそうです。メニューを拝見したら一人では来れない価格でした(^^;)

札幌の商社でロシア事業でお世話になっているS専務。人脈が広く人情深く、お忙しい中でも細やかに面倒を見てくださる、スゴイ人です。Sさん、せっかく来ただのだから美味しいものをいただきましょう、と。

Sさんと以前からお知り合いのMEGUの料理長は若手の日本人、気さくだけど仕事には厳しい生粋の職人さんです。ロシアで日本食材を集めるのが本当に大変とのこと。輸入食材がコンテナを満載できる量に満たないため、全て空輸=高額です。このレストランでは価格に糸目をつけない方がお客様ということもあり何とか成り立っているとのことですが…。

お酒のメニュー。「CAKE」はケーキではありません。ロシア語はC→SにあたるのでCAKEは酒です。製菓業者として要注意です(笑)

日本人ならほとんどの方が知っている(?)獺祭。純米大吟醸の「獺祭23(720ml ) 」はMEGUさんで49500ルーブル、日本円で約10万円でした。

食材がなかなか揃わないと言われる中でお寿司をご馳走になりました。

事業に参加する前は製造に追われ、サンクトペテルブルクでも毎日バタバタだったので胃腸の疲れ気味、という状況の中のお寿司は本当に美味しかったですし、シャリの状態もベスト、ロシアでこの品質を提供されていることに驚きでした。石板でステーキソテーの実演もしてくださり心もお腹も満足でした。

デザートはクレームブリュレと抹茶アイス、ブラマンジェの桜ジュレ添え。素晴らしいデザートです。桜が入手できたので大切に使っています、と。上品な逸品でした。

料理長としてサンクトペテルブルクに赴任した当初は、ロシア人の働き方が日本人と違いすぎて大変だったとのこと。怠惰と言ってはいけないのでしょうけれど、日本人は時間に関係なく、良いものを仕上げるために時間と手間を惜しみません。がロシアではその意識は通用しない。働き方改革が大変だったと。規定の労働時間に抵触しないように、けれど一切手を抜かないように最高のものを仕上げる、そう仕込んで今の職場がある、と。ロシア在住の日本人はまだまだ少ないですが、このように頑張って和食を伝える職人さんがいることに感動しきりでした。

事業の最後の締めくくり、最後の夜に最高の時間を味わいました。

MEGU料理長のBさん、札幌のSさんへ、心からの感謝。有難うございました。

サンクトペテルブルク 交流事業・5(11/21 )

前の投稿から1ヶ月…12月はクリスマス製造に集中し、クリスマスにパリへ行き、帰国後にようやくロシア交流事業の投稿再開です(^^;)

サンクトペテルブルク市内、移動場所によってはメトロが便利。1号線から5号線まであり、ガイドブックにない駅が新しくできていたので、最新情報は現地でチェックを。

 

1回乗車は45ルーブル、約90円。時間やエリアに関係なく一回分でどこまでも乗れます。自動販売機(もしくは窓口)でメトロ用コインを購入、お財布に入れるとコインと間違えそうです… 。無人改札にコインを投入、バーを下げて通ります。

 

 

ホームまでは地下深くまで続くエスカレーター。結構高速です。人が転げ落ちる事故はないのか?と心配したり…。地下鉄は冷戦時代に防空壕の枠割りを果たしたため、地下深く頑丈な構造だそうです。

ホームに着くと両サイドに扉があり、行き先を確認して乗ります。日本と同じ、反対方面へ乗らないように。列車が到着すると扉が開き、列車の扉が開きます。写真では見にくいですが、転落防止扉です。また、奥に電光掲示板の数字があり、前の列車から次の列車の間隔を表示しています。時刻表はなく、この数字で次の列車の到着を待ちます。

 

メトロのお国柄による違いが興味深いですが、日本のように距離によって細かく金額が変わる方が珍しいと思います。一回の乗車が一律の金額は、ロシアやフランス、他にもあるかと。1回分のコインかチケットを購入する仕組み。チェコは乗車時間によって金額が変わリ、フィンランド(ヘルシンキ)はエリアによって金額が変わります。マレーシアはメトロではなくモノレールですが、行き先により金額が変わり、トークンというプラ製のコインを購入して改札に投入するシステムはロシアと同じ。日本のメトロに慣れていると、多分どの国のメトロも簡単に乗れると思います(^^)

市内のスーパーマーケットの食品売り場へ。出来合いのお惣菜やサラダがショーケースにあり欲しい量をオーダーして購入する売り方はロシアでも一般的。ロシアはビーツサラダは日常食、人参サラダや卵サラダもよく見かけます、一緒に並んでいるとカラフルできれい。

パン売り場にもカラフルなロール。フルーツペーストを数種デニッシュに重ねたもの。

 

ロシアのサーモン。カットされた状態のものをよく見ました。ローストするのでしょうか。他にも干物やお寿司のネタ用のもの、サーモンもよく食べられる食です。

あと興味深いのはロシアの食がヨーロッパ文化とアジア文化の影響を受けていること。シチューやサラダ、肉料理などヨーロッパに近いですが、「ペリメニ」という水餃子があり、ラザニアではなく中国の餃子とほぼ同じ。けれど、食べるときにサワークリームを添えていただくという点でヨーロッパ的?食文化は面白いです。

お惣菜の写真の真ん中辺にペリメニがあります。

 

この日の最後に「血の上の救世主教会」を。サンクトペテルブルクの観光名所。おどろおどろしい名前ですが、アレクサンドル2世が暗殺され、弔うためにアレクサンドル3世が建設したもの。何がすごいって内装の壁画が全てモザイク画だったこと。ガイドブックを読まずに「とりあえず」で入館してびっくり。描かれていると思った壁画、天井も全てが小さな色ガラス(WEB情報ではラピスラズリなどの石も使用とありますが)をはめられたものでした。

 

教会はロシア革命による社会主義体制でソビエト政権により1930年代に略奪され、内装も損害を被り、その後修復されて1997年に公開。修復の様子が教会内に展示されていましたが、相当な労力だったと想像します。

 

色ガラスの製造だと思われますが(ロシア語が読めない…)豊かな色合い、グラデーションを表現するのに多数の色が必要です。絵の具を混ぜて作るのとは違い、1色1色のモザイクを作る、果てしない作業です。アイシングでも同じように色を1色1色作っていくので、何だか共感してしまいます…。

 

 

 

興味あることを書いていくと、つい長くなってしまいます。。。

サンクトペテルブルク 4(11/20)

11月20日、当初は見本市のお手伝いの予定でしたが、人手が多いこととブースが狭いため自由行動になり、大学交流事業の方々とエルミタージュ美術館へ。

世界三大美術館と言われるエルミタージュ美術館。エカテリーナ二世が建てた冬の宮殿、その隣に自身のコレクションを展示するために建てた小宮殿がエルミタージュ美術館の始まり。けれど!ものすごい広いのです!近代作品の新館(少し離れている)を合わせると広大すぎてとても見切れません。美術館に詳しい方が「じっくりと全ての作品を見ようとすると5年以上かかります」というほど!

建物の端から端まで広すぎて写真に収まりません・・・

ビザが必要な上、サンクトペテルブルクは直行便がないので行くこと自体ハードルが高めですが、エルミタージュ美術館は個人的にはルーヴル美術館以上かも…と思います。モナリザで有名なダヴィンチですが「リッタの聖母」という作品も素晴らしく、エルミタージュ美術館で人垣もなく間近で見ることができます。他にも名画が驚くほど展示されています。

11月に訪れた時、ダヴィンチはイタリア・ミラノへ貸し出し中でした。冬は人が少ない分、有名な作品は海外へ出張してしまうようです。写真は6月に来た時に撮影したもの。

リッタの聖母とラファエロの回廊

 

建造物も素晴らしく、作品と同じくらい、何度もお気に入りの空間を行き来します。一日では本当に足りません。

 

 

エカテリーナ二世、コレクションに注ぎ込んだ総額はいくらだったのか想像もつきません。宮殿の建築もさることながらドレスの数も2000枚とか伝説は他にも色々と。そしてエカテリーナ二世が世をさった後、財政が底を尽きたというお話しも…(真偽のほどは確かめておりません!)

エルミタージュ美術館、できれば丸一日時間をとって見ていただければと思いますが、夏はものすごい混みます。チケットはインターネットから予約できるようです。当日券の購入だけで行列です。今回行った11月はとても空いていてチケットも並ばずに購入できました。700ルーブル、約1,400円です。

チケット売り場は自動と人がいるところがあり、後者は建物の中に。

カードが使えます。美術館に入る時、荷物検査などセキュリティチェックがあり、A4サイズ以上の大きな鞄は不可と言われていましたが、A4より少し大きめでも大丈夫でした。学生さんで大きめのリュックを持った方もいましたが、それもOK。ダメな場合はコインロッカーに預けるのみですが。

日暮れが早いので17時過ぎに美術館を出ましたが外は真っ暗。照明が美しく日中の様子とは違う景色でした。

 

エルミタージュ美術館からホテルまで地下鉄で一駅半ほど、と行ってもかなり歩きます。徒歩30分くらい。ネフスキー通りという東京で行ったら銀座のような感じのメイン通りを歩いてみました。

 

途中に露店のお花屋さんも。ロシアの方はよくお花を贈るみたいです。地下鉄に乗っていても花束を持っている方をよく見かけました。

  

エリセイエフスキー商会という高級食材店。モスクワの建物の方がゴージャスですが、元々はサンクトペテルブルク発祥。ショーウィンドウも華やかですが、店内の洋菓子も見てて楽しいです。価格はそれなりに高いです。東京の高級な洋菓子店と同じくらい。

この日は以上で終了。

 

サンクトペテルブルク 交流事業・3(11/19 、午後)

11月19日、昼食会の後はぺテルフード(食の見本市)へ。

年に一度、空港近くの広大な建物の一角で開催、色々な食品会社がブースを構えて商品を展示し商談会が行われます。北海道は2回目の出展。ロシアへ輸出するには検査をクリアしなくてはならず、検査費用も相応にかかるとのこと。展示会へ出品する食品は既に検査済みの物であること、展示品・試食品も全て事前に申告が必要。なので、出展できる食品は限られます。

 

ロシアコーディネーターの方は「日本の果物は大人気」とのことで、梨とメロンの試食品を振舞っていました。ただ、実際には輸出のための輸送手段が乏しく、サンクトペテルブルクまでのコンテナを満載にするほどの輸出量がまだ見込めていないため、空輸で輸送コストがとても高い状況。

会場でロッテホテルの和食職人の方とお会いし、富裕層の方々へ日本食を提供していて、出来るだけ本物をと頑張るけれど食材にはいつも苦労されているとのこと。(後日、この方の和食レストランへお伺いしたのですが、日本酒「獺祭」の上級のものがボトルで10万円でした!)

展示会は国内企業が多い雰囲気でした。乳製品、ナッツ、加工品、などなど。日本からの出店はもちろん北海道ブースのみ(寂しい!)。ロシアの先のEU圏は輸送手段も多いし輸出もされていて日本食材もあるけれど…サンクトペテルブルクはまだまだ時間かかりそうです。

見本市を後にして、再び市内へ。(空港・見本市ー市内は20km、車で30分くらい)

国立文化大学と札幌大谷大学の交流事業の見学へ。文化大学は歴史地区というエルミタージュ美術館のそばにあり建物も重厚で立派な建物。素晴らしい環境です。

大学の部屋です。特別室ではなく学生が一般に使う部屋のようです。こちらでロシアの学生さんがプレゼンテーションを行い、そのレベルの高さに驚きでした。日本語学科の学生さんではありますが、日本語が流暢、プレゼンの合間全て日本語、ロシア語は一切使われません。プロジェクターの指示も先生との会話や質疑応答も!

ロシア学生さんのプレゼンテーション(一人、1テーマ)

・サンクトペテルブルクの銅像
・サントペテルブルクの地下鉄システム
・神道とロシア正教
・社会福祉、車椅子のファッション
・演劇と小山内薫

ロシアは義務教育まで無償、大学は無償枠・有償枠があり学力で無償枠に。教育システムなどの詳細までは聞けなかったけれど、大学生の学力やプレゼンのレベルはやはり高そうです。

大学視察の後、市内のレストラン「ユーラシア」(ロシアで一番大きな飲食チェーン店)で食事会。最後に初めて地下鉄に乗りホテルへ。長い長い一日でした。

(ロシアの地下鉄については後で触れたいと思います)

 

サンクトペテルブルク 交流事業・3(11/19 、お昼)

11月19日、午前中の会合を終え、昼食会へ。

行政関係者と民間代表団(建設会社、大学、その他)の2つに分かれ、十勝菓子工房 菓音は行政グループに入れていただき、サンクトペテルブルク総領事館と北海道庁の方々とご一緒させていただきました。

 

ロシア料理を味わいつつ、会合の内容の再評価やどこまで実現可能なのか、などの話題。隣はサンクトペテルブルク総領事館の方、あまりお会いする機会がないので差し支えない範囲でお仕事の話しなど。さらっとアートクッキーやポテトフラワーのPRも(^^)

姉妹都市について、札幌市ーサンクトペテルブルク市で提携の可能性を伺いましたが、「労多くして利益なし」とのご回答。条約の擦り合わせや色々と調整ごとが多いらしく、その割に有益なことがないらしい。昔は姉妹都市ブームがあって一気に増えたものの、今はあまり前向きでなないとのこと。サンクトペテルブルク市は大阪市と横浜市と姉妹都市ですが、実際のところどうなんだろう・・・。

ロシア料理、前菜はスモークサーモン、イクラ、ニシンのマリネなどの盛り合わせ。ボルシチにはスメタナというサワークリームを入れていただきます。肉か魚を選べて、私は魚でタラとポテトのソテー、美味しかったけど多すぎて食べきれず。

赤いジュースは「モルス」というビタミン豊富なベリージュース、ロシアの定番の飲み物。ウォッカも最初の乾杯で出て、ロシアでは一気飲みがマナーだそうですが、舐めるだけにとどめておきました。

 

デザートに数種のお菓子。ミニサイズにしてあって可愛い。ロシアで伝統というかよく見かけるお菓子は「カルトーシュカ」(ロシア語でジャガイモ)というお菓子。写真の手前の真ん中の円柱状のものですが、本当は小さなジャガイモのような形。(北海道の「わかさいも」みたいな感じです)ジャガイモは不使用、スポンジのクラムに洋酒やクリームを入れて丸めてココアをまぶしたシンプルなお菓子、見た目がジャガイモっぽいのでカルトーシュカ。しかも上に爪みたいなものが出ていて、多分「芽」を表現、ロシアのお茶目な様子がうかがえるお菓子です。

あとはナポレオンも定番。ミルフィーユのことですが、ロシアのナポレオンはイチゴなどは使用せず、一般的なミルフィーユ、クリームとパイを重ねたシンプルなケーキです。街でよく見かけます。

お菓子もほとんど残してしまい、後ろ髪引かれつつ(笑)退席。午後はぺテルフードという食の見本市と大学交流事業の見学へ。(続く)