日別アーカイブ: 2017年6月12日

ペルニークを求めて初夏のチェコへ 7 (プラハのペルニーク店)

6月5日、この日はペルニークのお店2件とアンティーク雑貨屋さん、ペルニークと伝統菓子にまつわるカフェ、それに個人作家さんお二人を巡る行程。

どこも見応えあり、味わいがいあり、素晴らしい作家さんに出会い、ペルニークが深まった一日でした。こんなに最高にヘビーな(良い意味で!)一日は人生でなかなかないくらい!このアポ術もアテンドもコーディネートも本当に見事なYさんでした。

 

で、最初の一件目、Pernikův sen  。プラハの旧市街広場から徒歩圏、マンション街のなかにひっそり佇む可愛らしいペルニーク店。2016年11月にオープンとのことで日本のガイドブックにはまだ乗っていないお店です(何だか嬉しい)。

お店の中はおもちゃ箱のような子供部屋のような…スパイスの香りに包まれペルニークが棚にぎっしり。個人の作家さんの作品も仕入れて販売しているとのこと。

お菓子好きな女性4人で焼き菓子やペルニークを作り販売するお店を作ったのだそう。間違いなく人気店になりそうな雰囲気。アイシングをほどこしたペルニークのミックスセットを購入。ほどよいスパイスとやわらかめの食感、わりと好みのタイプでした。

素敵なお店を見ると、菓音もこんな風にしてみたいな〜と思うのですが、、、もう少し先かな。十勝の素材とチェコの伝統菓子ペルニークでできることも考えてみたいし(…つぶやきです)。

 

さて二件目のペルニーク店、Tradiční český perníkという店名「伝統チェコ・ペルニーク」という意味なのだそう。

こちらのお店は洗練されたクラシカルなたたずまいのお店。白地のアイシングに絵筆と食用色素で描いたアートなペルニークも。かなり長時間見入ってしまいました。販売しながらも店頭で受注した特製ペルニークを制作していて、本当にスゴイ!私もまだまだ鍛錬が必要だわ、と触発される。

販売していた女性が丁寧に説明してくれた。チェコには国外から色々なものが入り国内で販売される。チェコの伝統は何だろう?と思った時に浮かんだのがペルニークだったのだそう。だから店名に伝統を入れているのだ、と納得。

そして家に伝わるペルニークの古いレシピがあったのだそう。お店を開くまでは使うことのなかったそのレシピを起こし、お母さんがペルニークを作って焼き、お嬢さんがアイシングを施し販売を担当。母娘連携プレーが素晴らしい。家にペルニークレシピが伝わっていることも素晴らしいし羨ましい・・・。スパイスについて聞くと、色々使っているとのことだけど興味深いのはラベンダー。ドライを粉にして使うのだそう。確かにココのお店のペルニークは独特なスパイスの風味でした。

 

それにしてもアイシング技術は高いし、アートセンスは優れているし、販売のセンスも素敵。お店を開く前はレストランに勤めていたというけれど、、、お客さんを見分けて売るセンスも見事。「アジア人は見にくるけどあまり買わない。何故?」と質問された。「スパイスがあまり得意ではないけど、アイシングクッキーは好きだからスパイス控えめにしてみては?」と答えた。思いつきの返答だけど大丈夫だったかな・・・?

 

何にしても、女性で立ち上げたペルニークのお店、二軒とも素敵すぎる。お菓子が好き、チェコの伝統ペルニークを伝えたい、そしてお店を開く。やりたいことを形にする器用さと実行力。ペルニーク視点から見たチェコだけど、チェコ人って素晴らしい。

 

 

ペルニークを求めて初夏のチェコへ 6 (ちょっと脇道へ)

ペルニークのことを書こう!とブログを書き始めたのですが、それ以外のことも素敵なチェコ、プラハ。アートや音楽、アンティーク、かわいい雑貨、美味しいもの・・・本当にたくさんのアレコレがたたずむ街。

ちょっと脇道へそれてプラハの街のアレコレを。

 

6月4日、お昼前にチェスキークルムロフを出発。ずっと天気良かったけれど、この日の移動中だけ大雨。どちらかといえば雨女なワタクシですが、今回の旅は本当に天気に恵まれている。暑すぎるのは難点だけど雨よりは断然イイ。同行のピアニスト女性が相当な晴れ女らしい。感謝!

それはそうとプラハに着くと雨は止み再びホテルアンデェルへ。すると何故かグレードアップしてくれてセミスイート。ミニキッチン付き、浴槽とシャワー室別のバスルームは床暖房完備。一昨日とぜんぜん違う〜。

日曜の夕方近くプラハの街歩き。市民会館(スメタナホール)でその日の公演をチェック、モーツァルト&ドヴォルザーク/チェコラジオシンフォニーの演奏でした。

アールヌーヴォー様式の歴史ある建築物、内装の一部をミュシャが手がけているコンサートホール。映画「のだめカンタービレ」の撮影が行われたホールとして日本人にすっかり有名に(^^) 入り口から階段、ホール前の内装も素晴らしいです。

演奏は8名の室内管弦楽、少な〜と思ったけど音色の深さや奏者の息、迫力あり日本ではなかなか聞けない演奏でした。……日本の技量が劣るという訳ではありません。でも何が違うのやら。奏者たちが本当にのびやかに笑顔で幸せそうに奏でる様子も素敵で。

席は半分くらい空状態、観客はおそらくほぼ観光客。プラハの春(音楽祭)終わったばかりだし。でも、このガラ空きの状態でも迫力の演奏、ならば満席で本気勝負の演奏ってどんなんだ?、、次回可能なら聴いてみたいと思ったチェコラジオシンフォニーの演奏でした。

 

帰り道にスーパーでお買い物。食材が安くて本当に羨ましい。しかも美味しい。写真は最終日のBILLAですが、価格や品物はこんな感じ。

瓶もののピクルスやトマトソース、オリーブは150円しないくらい。1コルナ=約5円くらいなので、表示価格の5倍くらいが日本円です。瓶ビールは50〜150円。羨ましい。

パンも野菜、果物も安い。りんごなんて1kgで150円くらい。食事情だけみて「あぁ、プラハに住みたい」と思うワタクシ。安直です、分かってます、でも食天国のプラハです。

この日はホテル部屋メシ。お惣菜やレバパテ、フルーツ(ラズベリーやメロン!)、ウォッシュチーズ、パン、ビール、こんなに買って1,500円くらいだったか…。もちろん、どれも美味でした!

ペルニークを求めて初夏のチェコへ 5 (チェスキークルムロフ)

6月3〜4日はチェスキークルムロフへ。

一泊の地方旅行、プラハから高速バスで3時間ほど。

3日は土曜日、宿泊先のアンデェルの近く川沿いの公園でファーマーズマーケット開催。天気もいいしバスの出発前にマーケットへ寄り道!

8時オープンとガイドブックにあったけど8時前から沢山の人が。パンや野菜には行列、朝食の買い物かな。

ジャムやケーキ、お花もあって見てるだけでも楽しい。

イチゴ売り場の近くに行くと芳醇な香りが。花より団子・・・じゃないですが、香りとともにイチゴが食べたくなり小さなパックを一つ。日本で良く見る透明パックと同じくらいの紙箱にぎっしり詰められて250円くらい。しかも味が濃くて美味しい。チェスキークルムロフ行きのバスの中でしっかりいただきました。

 

バスに揺られて3時間、チェスキークルムロフ着。いいお天気です。

絵本にでてくるような風景の街並み。13世紀後半にヴルタヴァ川(モルダウ川)に建設が始まり、1992年に世界遺産に登録された歴史ある町です。

お城の壁は「だまし絵」が描かれています。戦後から廃墟同然になった町を資金不足の中で短期間で修復するために思いついたアイデアなのだそう。確かに石を彫刻したりしていたら膨大な時間と費用がかかるので「だまし絵」は素晴らしい発想。遠くから見ると意外にそれっぽく見えます。

 

この町へ来たのは、ここで初めてペルニークに出会ったから。・・・というと格好いいけど、ツアーの中に組み込まれていたから(笑)泊まるホテルも昨年同様のホテルルゼ。修道院を改装して作られたアンティークなホテル。

ロビー脇のバーやホテル内のレストランも素敵です。朝食はここでビュッフェ。

 

ホテルに荷物を降ろして目的のペルニーク店へ。お城の入り口近くにあります。建物入り口はとても可愛らしいのですが今回は修復中だったため写真は昨年のもの。店内の雰囲気は変わらずオールドタイプとアイシングタイプの両方が置いてあります。

店員さんの女性に、昨年旅行で訪れてペルニークを初めて見て感動したこと、再びチェコでペルニークを取材しにきたこと、製菓業を営んでいて日本にペルニークに伝えたいことを拙い英語で伝えると、何とか伝わったようで喜んでもらえた。

早速、北海道をgoogle earthで検索していた。チェコと北海道が繋がったらいいなぁ。十勝は特にチェコの田舎町と気候や風景が似ていると思う。白樺や麦畑があって、防風林があって・・。

今回購入したペルニーク。型押しのオールドタイプは昨年同様の箱入り。アイシングはおそらく同じ作家さんが作っていると思われる。柄の施し方、花や葉の描き方が同じで再び出会えた!と嬉しくなった。

昨年は素敵な紙の手提げ袋入りだったけど、今回は白無地のビニールバック。たまたま在庫切れならいいけど・・・。

 

ペルニーク店を後にして街中をプラプラ。天気良くてとにかく暑い。さわやかな気候を想定していたのですが、、汗が吹き出る暑さでした。

お城までの坂道がキツイ。初夏なので花がたくさん咲いてます!

プラハにあるコヒノール文具店、チェスキークルムロフにもあります。小さな店舗でややお土産物屋さんっぽい。入り口の扉にはチューブ絵の具の飾りがいっぱい!しかもチューブの先が何故か指の形。ちょっとシュールです。街中にはショコラティエも。

お城の庭園は健脚の方にオススメ。行き着くまで急坂!しかも広大な庭園。ヴルタヴァ川は暑い日ということもあって水浴びしている人、ボート遊びをしている人、のどかな光景。

暗くなるのは夜10時頃。夕暮れ頃の町の灯りが素敵です。

チェスキークルムロフは観光メインでした^^

ペルニークを求めて初夏のチェコへ 4 (Muzeum perníku a pohádek)

6月2日、パルドビツェで取材3件目。ペルニーク博物館です。

プラハにあるジンジャーブレッドミュージアムは店舗であり素敵なジンジャーブレッドを販売していますが、こちらのペルニーク博物館は本物の博物館。お店ではありません。

 

ヤノシュさんの工房からレストランで休憩してタクシーで博物館へ。

住宅街を通り、古城を見ながら鬱蒼とした林道を抜けると博物館があります。パルドビツェ駅からタクシーで20分くらい。ここまで来た日本人は何人いるだろう?というくらい観光地とは無縁の場所です(笑)

空は快晴、平日ののんびりとした空気が漂う午後、赤壁の家のような建物へ。ガイド付きの入館料70コルナを支払って待っていると、上品な年配の女性が笑顔でやってきました。

右の入り口から入ると、ヘンゼルとグレーテルの童話の内装が作られています。博物館の建物は童話を模して建てた家なのだそう。

写真の黄色い看板の4つの穴は太っているかどうかを試す指の穴なのだそう。作りが凝ってます(笑)

でも、チェコ版ヘンデルとグレーテルはグリム童話の内容と解釈を少々変えているらしく、チェコに元々伝わる優しい魔女が描かれているらしい。

 

何にしてもお菓子の家というモチーフは世界共通のようで、家型のペルニークを沢山見ました。そして、展示室には世界から集めたヘンデルとグレーテルの童話本がありました。もちろん日本からも!(下の写真:日本語版は写真左上の方にあります)

博物館の中は展示室が細かく分かれていて、ヘンデルとグレーテルにまつわるお話しが終わると「では魔女を読んでみましょう〜」とガイドさんが言いドアをノックすると奥から返事が・・・。

何とも凝った設定です。ドアの奥には魔女がいました。しかし何故か男性(っていうかおっちゃんだった)。部屋の作りは素敵で、オーブンを備え室内で伝統的なスタイルの型押しペルニークを制作。型抜きの実演や木型の説明も詳しく教えてくれて。

おっちゃんやー!と思った魔女の男性は親族が木型職人とのことで木型に詳しく、最短でも制作に三ヶ月かかること、長いもので三年、使う気はフルーツ系の木などと色々教えてくれた。

木型を持つおっちゃんのオナカ、ちょっと出過ぎ(笑)

こんな素敵な工房でペルニークを作りたい・・・。

 

ペルニーク木型も芸術品であることに驚き、チェコ人の手仕事のすばらしさに感動。チェコ人の子供たちがもっと博物館に来たら良いのに勿体ない。そんな思いを通訳Yさんに伝えてもらうと、魔女のおっちゃん曰く「チェコ人たちは日本の柔道を習いに行き、日本人がペルニークを習いに来る(笑)」。

なお、木型職人はペルニークのためだけでなく染物などの木型も制作するそうで、チェコの手仕事の中に息づく職人技であるとのこと。

 

ここの製造風景の部屋を出ると、いつくかの童話のような展示室があり出口へ。最初は子供向けの展示かなと思ったけど、ガイドさんのペルニークの説明は素晴らしく、歴史背景を分かりやすく教えていただくことができたので、十分大人向けの博物館でした。

午前中に取材したヤノルバさんとヤノシュ氏の作品も展示されていて、パルドビツェがペルニークの町であることを証明し、皆で作り上げていることが伺えた。

この博物館はパルドビツェの町営でなく、私営とのこと。ガイドの女性は館長のお母様で親族達に伝わるペルニークの話しやペルニークに関わる人たちから聞いた話しをまとめてきた、とのこと。それを私営で博物館を作り運営しているのだから本当にすごい。

そんなガイドさんからペルニークの本をいただいた。英語なので何とか日本語に訳したい。できればいつかペルニークの和訳本出したい・・(妄想)。味のある写真が掲載されています。

「ペルニークの町、パルドビツェ」

ISBNコードがないので書店販売はなく博物館だけの扱いのようです。